翡翠との出会い
翡翠に魅せられて

   

 ウォーキングしながら何度も翡翠を見かけました
 平成17年やっと撮影できたのが上の横浜市都筑区四季の森公園の蓮池でした
その頃までに見かけた年代順にスポットを並べます
@横浜三渓園 内苑入口手前の睡蓮池の向う側(平成11年冬)
A野川 野川親水公園から喜多見あたりにかけて3度も(平成12年春)
B平瀬川 久地梅林裏あたりの下流(平成13年夏)
C大熊川と鶴見川合流点(平成14年夏)
D港北ニュータウンささ舟の道 横浜高速下の少し都筑よりの大原みねみち公園の細長い池 向う岸とこちら岸往復(平成15年2月)
E引地川 相模鉄道線のすぐ下流こちら岸の木とその上流のふれあいの森のフェンス(平成15年3月16日)
F引地川 相模鉄道線のすぐ下流、前回と同じあたり川の中の止り木でひな2羽 本格カメラのウォッチャー2人の解説聞く(平成15年7月19日)
G再びささ舟の道 大原みねみち公園の手前側から橋の下をくぐって池のこちら岸の小さな枯れ木に止まる(平成15年12月29日)
H港北ニュータウンふじやとの道 徳生公園の池東側木立の前(平成16年11月13日)
I同せきれいのみち 茅ヶ崎公園の東北端 目の前を左から右へ横切って茅ヶ崎貝塚橋方向へ飛んでいった 同じ日またまたささぶねのみち 大原みねみち公園の東側の池で木から木へ飛んでいた(平成17年1月29日)
J横浜都筑区 四季の森公園 北口正面の蓮池(平成17年2月5日) とうとう撮影できた(上2枚の上が池の枯れ木で魚を狙う、下の合成がお気に入りの猫柳の茂みの中)
K横浜市栄区本郷台を流れるいたち川(地図では稲荷川)ウォーキングコース上流端の尾月橋の直下流(平成17年4月3日)


(下に翡翠に関する自筆随想2作並べます)

 (「翡翠(かわせみ)に魅せられて」 月刊金融ジャーナル2005年8月号所収
 昭和55年前後の3年間、ロンドンに駐在していた。緑豊かでなだらかな起伏に富み、羊や牛がのどかに草を食む田園風景と、何百年の歴史が沁み付いた石造りの建物が調和するイギリスの田舎に惹きつけられ、カントリー・ウォークにのめりこんだ。英国版ミシェランともいうべきAA(英国自動車連盟)のガイドブック「Country Walksin Britain」に載っている205コース中、過半数の105を踏破した。
 帰国後もカントリー・ウォ−クの魅力が忘れられず、健康法もかねて、首都圏近郊の旧跡、古い町並み、花の名所や多摩丘陵、丹沢前衛の里山、三浦半島の山と海岸などを気の向くまま歩き続けている。多摩川支流の野川、平瀬川、二か領用水や、地図で見ると想像上の動物獏の形をしているとPRされている鶴見川の本支流流域もよく歩く。川の水も結構きれいになり、川岸も整備され、車も来ない快適な散歩コースが多い。
 特に勉強している訳ではないが、季節季節の草木、花、鳥、魚をめでながら一日平均4時間程度歩くのが週末、休日の日課である。
 平成11年の冬、横浜本牧三渓園に寄ったところ、内苑入口右手前の睡蓮池で人だかりがして、カメラの砲列が敷かれていた。見ると、雀より二回り位大きな、光り輝くようなコバルト色の背中と明るい橙色の腹をした、嘴の長い小鳥が池の中に立った枯れ木に止まっている。やがて「ツチィー」という鋭い鳴き声とともに、目にもとまらぬ速さで水面に下り、遠くからもはっきり見える程の大きさの魚を咥えて、対岸の大きな木の枝に移った。
 これが意識して見た翡翠(かわせみ)との最初の出会いであり、以来その魅力にとりつかれてしまった。美しい鳥は数々あれど、これほど色鮮やかで気品のある小鳥は、このあたりに他にはいない。宝石のヒスイも漢字では同じく翡翠と書くが、今年初上野の国立科学博物館で開かれていた翡翠(ひすい)展での解説によれば、かわせみのように美しい宝石なのでヒスイに「翡翠」の字をあてたとのことであり、鳥のほうが元祖らしい。
 私が魅せられているだけでなく、古来、中国では皇帝の印とされているほど格調高い鳥であり、白居易の長恨歌からもそれがわかる。
 玄宗皇帝が反乱軍を避け西に落ち延びて行く途中、付き従う兵士の不満から行軍が進まない様を表す「翠華(すいか:かわせみの羽飾りのついた皇帝の錦旗の意)搖々として行いて復た止まり」、楊貴妃が地に倒れた時に飛び散る装身具を描写した「翠翹(すいぎょう:翡翠の羽根の髪飾り)、金雀、玉掻頭」、楊貴妃死後の孤閨を嘆く皇帝の心境「翡翠の衾(かわせみの羽根の布団)は寒くして誰と共にせん」の3箇所である。

 三渓園での出会いから3月後の平成12年春、野川を下っていたところ、野川親水公園と喜多見の間で、川面を飛ぶ翡翠を3度も見かけた。庭園ならいざ知らず、こんなところにもいるのかと嬉しくなり、以後、特にバード・ウォッチングという訳ではないが、水辺を歩くときは、気をつけて歩くようになった。河川環境が良くなっているお蔭か、今日までに色々なところで、20回近く遭遇している。以下、2回以上別な日に見かけた場所をご紹介する。
 先ずテレビでも紹介され、有名になっている、横浜市都筑区「四季の森公園」北口正面の池。池のあちこち飛んで魚を採っているが、マニアのおじさんの話だと、入口対岸の猫柳の茂みがお気に入りの場所である由。JR横浜線中山駅から徒歩10分。見られる時にはカメラの砲列あり。
 同栄区のいたち川。JR根岸線本郷台駅から歩くウォーキングコースの上流端尾月橋のすぐ下流。コースの至る所に翡翠の絵の看板があるところを見ると、定住している模様。カメラも多い。
 藤沢市鵠沼海岸の西側で海に注ぐ引地川の上流が、相模鉄道線と交差する「ふれあいの森」あたり。駅でいうと大和と相模大塚の間。鉄道線路下の暗渠部分を行き来している。
 意外な穴場が港北ニュータウンの遊歩道「ささぶねの道」の「大原みねみち公園」の細長い池。横浜高速鉄道の仲町台駅とセンター南駅の間。地元の人が散歩しているだけで、カメラを見かけた事はなく、翡翠ものんびりしているように見える。

 最後はローカルなご紹介で、地方の読者の方には申し訳ありませんが、東京周辺で、興味おありの方は、試しにお出かけ下さい。何度か通われるうち、あの光り輝くコバルトブルーの魅力にとり憑かれることでしょう。

 この下は財政金融ジャーナル2006年1月号掲載の新春随想です

 
 

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